『そうなのよ。穂乃嘉ちゃんの歌、私もここにいる先生たちも、きき入っちゃったの…それも涙ぐみながらね……(笑)』 と続けた。 医者や看護師さんたちはそれをきき、あたしを見ながら頷いた。 『あ…あたしなんかの歌が……』 あたしなんかの歌が、響くわけない……あたしはそう思った。 でも、もし届くなら…あたしは何でもしたい。 『穂乃嘉ちゃん…。桐也くんの側にいてあげて。』 そう言って、夏津紀のお父さんは両肩に手をおいた。