もしかしたら意識が戻るかもしれませんね。穂乃嘉ちゃんを笑顔にするために。』


医者が微笑みながら、こたえたところに、











『……♪…♪………♪』







医者が閉めたドアの隙間から、穂乃嘉の歌声がきこえてきた。










『歌、上手ですね。桐也くんはこんなに自分を想ってくれる人がいて幸せですね…。』


医者は藍沢桐也の母親に言った。





藍沢桐也の母親も、医者や看護婦も、皆なぜか涙ぐんでいるように見えた。