ミズキちゃんは心なしかふっくらとしていた。

でも、顔色があまりよくないのが気になった。

そして、あまり笑顔が見られなかったのも。

妊娠中は体が大きく変化するから、精神的にもきついって聞いたことがある。

そういう感覚は、妊娠しないとわからないものだから、下手に気遣うのも気が引けた。

ハルキにわざわざ聞くのも。


それにしても、今日のハルキはえらく機嫌が悪い。

タクミと私が長期旅行に出かけるのがそんなにうらめしい??


機嫌が悪いのをわかってるはずなのに、更に聞いてしまう私。

「ミズキちゃん、こないだのお披露目会では具合悪そうだったけど、大丈夫?」

「え?」

ハルキは、一瞬私の方を見た。

「具合悪そうだった?」

「うん。顔色悪かったし、以前よりも笑顔が少なかったナーって。妊娠中は何かとナーバスになるものなのかしら。」

「そうかな。俺は何も気付かなかったけど。」

「他人の私が気付いて、一番近いあなたが気付かないなんて、おかしくない?」

「それ言われるときついな。」

「どうして?」

「俺、最近帰り遅いし、あまりミズキとしゃべってない。だから、具合が悪いかどうかなんてわかんないよ。」

思わず口をあんぐり開けてしまった。

「ひどい男。」

「まぁそんなとこだね。」

「タクミと本当に兄弟か疑わしいもんだわ。」

ハルキは苦笑した。

「それは言わないでくれる。俺、兄貴と比較されんの一番嫌いなんだ。」