思わずごくりと唾を飲み込んだ。

そりゃ、そうよね。

タクミと私は夫婦なんだもの。

家族計画を話し合うことはとても大切だわ。

でも、今の私にタクミとの子どもを産める?

ハルキの顔がぼんやりと脳裏をかすめた。


「ミクは、まだ子どもとか欲しくない?」

タクミは優しい瞳で見つめてきた。

「ああ、うん。正直まだ、かな。」

「ミクは本音で話してくれるから嬉しいよ。だったら、俺も急がない。ミクが欲しいと思ったときにまた考えよう。」

タクミは荷物を肩から降ろして、大きく伸びをした。

「ごめんね。せっかく休みとれるのに。」

「いや、そんなこと気にすんなよ。俺はミクと一緒にいられるだけで幸せなんだからさ。」

そういうこっぱずかしい言葉も、さらっとイヤミなく言えるのがタクミだった。

私は少しだけ笑った。

子どもは、まだいい。

ハルキとの関係が続く限り、考えられなかった。

子どもができる・・・それはハルキとの関係の終わりを意味していたから。