インターフォンに出る。

「俺だよ。下で待ってる。」

私は何も言わずにインターフォンを切った。

そして、できるだけ静かに玄関を出る。

誰にも会わないようにエレベータに乗った。

1階に近づくにつれ、鼓動が大きくなってゆく。

こんなにも、誰かに会うのに胸が高鳴るなんて久しぶりだった。


1階についてエレベーターの扉が開いた時、私の顔は妙な緊張と期待で熱くなっていた。

夢見心地のまま、マンションのホールを抜け外に出た。


「寒っ。」

思わず両手で自分の体を抱き締めた。

コートくらい羽織ってくるんだった。

「ミク。」

前にハルキが立っていた。

「寒いだろ?早く車に乗ったら?」

そう言うと、私の腕を掴んで自分に引き寄せた。

私の頬がハルキの温かい胸に当たる。

そのまま、私はハルキの車に押し込まれた。


懐かしいハルキの香りが車の中に充満していた。