「でも・・・。」

ミズキちゃんはうつむいた。

「お腹に赤ちゃんがいるとわかってからは、不思議なくらいそんな不安がなくなりました。」

「そうなの?」

「はい。だって、この子はハルキくんと私の元に生まれたくてやってきたんですもの。ということは、私たちは結ばれるべき運命だったんだって、ようやく確信できたんです。」

「あなたは本当に純粋だわ。」

私は頬杖をついて笑った。

ミズキちゃんの言葉はとても詩的で、その言葉の選び方も気に入っていた。

きっと、ミズキちゃんの口からこぼれる言葉は嘘偽りない真実。

誰にこびることなく、全てを受け入れた時に素直に出た言葉。

ハルキから聞いていた通り、とても純粋な女性。

ハルキが手放さないのも無理はない。


私は髪の毛を掻き上げた。

「ミズキちゃんのそういう考え方、好きだわ。」

「そう言って頂けて、私も嬉しいです。」

「きっとお腹の赤ちゃんはとても幸せだわね。」

「ありがとうございます。」

ミズキちゃんはハルキと視線を合わせて、嬉しそうに笑った。


ハルキがあまりに冷静なのだけが気にくわない。

ミズキちゃんはハルキにはもったいないくらいに素敵な女性。

くやしいくらいに。