ハルキと、タクミが待つ車へゆっくり歩いていく。

タクミは助手席から、右手を振っていた。

少し申し訳なさそうな顔で。

車に乗り込むと、タクミは右足を指して苦笑した。

「ごめんよ、ミク。時差ボケで足踏み外しちゃってこのざまだよ。とりあえず再来月の式には完治させるから。」

「大丈夫なの?また来週から出張でしょ?」

「そんなにひどい捻挫じゃないから、1週間もあれば固定でなんとかいけるってさ。ほんと、情けない話だよな。」

「っていうか、無理はしないでね。タクミも疲れてるのね。」

なぜだかいつも以上に優しい言葉をかけた。

「妬けるねぇ。」

運転席に座ったハルキが小さくつぶやいた。

その言葉に顔中から火が出そうになった。

「ハルキだって、いつもミズキちゃんといちゃいちゃやってるだろ。」

タクミは笑いながら、ハルキの腕をこづいた。

ミズキちゃん・・・?

ハルキの彼女の名前?

『いちゃいちゃ』・・・。

一気に私の気持ちは沈んでいった。