とりあえずファッション雑誌のコーナーに向かう。

こんな性格だけど、一応外出する時の服装は気を遣ってるつもり。

三十路前だもんね。

それなりに、少しでもきれいにみられたいもの。

いつも愛読している雑誌を手に取った。


「あれ?ミク?」


正面から聞こえてきた声。

この声。

この声・・・。

正面を見るのが怖かった。


そう、ハルキ。

ハルキの声だった。


ゆっくりと瞼を持ち上げた。


ハルキは無邪気に笑いながら私に手を振った。

その無邪気さが余計私の気持ちを苦しめることを知らずに。