タオルケットかけたとき、起した?

それとも、何か気付いた・・・?

「ごめん、起しちゃった?」

私は静かに言った。

タクミは眠そうに笑いながら首を横に振る。

「ミク・・・、なにかあった?」

タクミはそう言うと目をつむった。


なにかあった・・・?


なにかあった・・・。


この場から逃げ出したい衝動にかられる。

タクミはそのまま寝てしまったのだろうか。

目をつむったまま動かない。

私は何も答えず、寝室から出た。


そのままキッチンに向かう。

グラスに水を注ぐと、一気に飲み干した。

ふぅ。

息が詰まりそうだった。

もう一度ソファーの方を見た。

ハルキと何度もその上で抱き合ったソファー。

新居にも持って行く予定のソファー。

きっと明日、このソファーにタクミは座る。

ただ、それだけのことを想像することすら、怖かった。