今まではそれが当たり前だったのに。

今日は違う。

全てが不安だらけ。

自分の表情も、うちの中も、ソファーのしわも・・・。

そんなに簡単に気付かれるはずもないのに、タクミのちょっとした一言や行動にどぎまぎしてしまう。

超えてしまった一線の重大さを改めて感じた。


その夜。

晩御飯を食べて帰りつくなり、ベッドに横たわって動かなくなったタクミ。

その姿を見て、ホッとする。

とりあえず、このまま2時間くらいは起きてこないから、そっとしておこう。

薄いタオルケットをタクミの肩から足元にかけた。


「ミク・・・?」

突然、目をつむったままのタクミがつぶやいた。

ドキッとする。

寝言だろうか?

それとも、ぼんやりと起きてる?

しばらく何も言わずにタクミの表情を眺めていた。

タクミはうっすらと薄目を開けた。