「そうよ、当たり前でしょ。タクミは今まで出会った中で一番居心地がいい人。結婚するならこの人しかいないって思ってる。」

「その居心地がいいっていう表現が、引っかかるんだけどさ。」

居心地がよくて何がいけないのよ。

「居心地がいいってのは、ある意味ドキドキハラハラしないってことじゃないの?」

「それがどうかした?」

「それって、男としてきちんと見てる?」

「男とか女とか、そういう意識を持ちすぎて結婚したくないの。人として見てるから。」

「ふうん。」

ハルキは残っていたビールを飲み干した。

「俺、そういうミクさんの概念、無性にぶちこわしてみたくなる。」

「ぶちこわせるならぶちこわしてみたら?」

鼻で笑った。

だって、あまりにくだらないこと言うんだもん。

やっぱり年下だわ。

冷静さに欠けてる。

「ぶちこわしちゃってもいいわけ?」

ハルキはほおづえをついて、私を見上げた。

一瞬その眼差しにドキッとした自分がいた。

思わず目をそらす。