「こう見えて俺、好きになったら猪突猛進タイプ。すぐに相手の何でも知りたくなっちゃって。相手はしんどいみたい。」

「そうなんだ。でも両思いだったら、それも悪くないんじゃない?」

「そうかな。彼女は少しうざがってたけど。」

「まぁ、少しうざい気もするけどね。」

「ミクさんっておもしろいですよね。」

そう言いながら、ハルキは明らかに話題を私の方へ振ろうとしてる。

そう簡単には振れないんだから。

少しムキになってる自分が滑稽だった。

「でも、今も結婚考えるまでうまくいってるんだったら問題ないじゃない。」

「そうなのかな。彼女は本当に俺でいいのかなって時々不安になるんだけど。」

「嫌だったら、とっとと別れてるわよ。」

「その「とっとと」が目の前に迫ってたら嫌だな。」

「はは、その時はその時でしょ。」

私は笑いながら、3杯目の冷酒を口に含んだ。


「その時はその時・・・ね。」

ハルキは冷酒のグラスを眺めながらつぶやくように言った。

「恋愛なんてね、なるようにしかなんないもんなのよ。」

「あ、そういう話しっかり聞きたいな。」

ハルキは身を乗り出した。

「いくら相手の気持ちをとどめようとがんばったって、離れていくもんは離れていくし。どんなに喧嘩ばかりしてても、離れない相手だっている。そういうのが結局運命なんじゃない?」

「なるほどね。」

ハルキは何度もうなずいて、冷水を飲んだ。