一人でいるとほっとする。

それはうそじゃない。

そういう時間も私にはとても必要だった。

だけど。

長い時間一人でいるのは、耐えられなかった。

誰かにぎゅっと抱きしめられると、心から安心できた。


私がずっといえなかったこと。


でも。

タクミは知っていた。

タクミが出張の間、私が本当の私に戻ってしまうことを。


「俺は、ひょっとしたら、ハルキとミクがそういう関係になってしまうかもしれないって、心の奥の方でわかってたのかもしれない。」

タクミは、飲みかけのワイングラスを人差し指でなでた。

「ハルキが、きっとミクに惹かれることも、俺にとっては二人を会わせた瞬間から気づいてたんだ。」

ハルキ。

あなたのお兄さんは、あなたが太刀打ちできないくらいに、深いところまで見抜いていたのよ。

あなたが、私とそういう関係になっても、ミズキちゃんと別れるようなことをしないってことも。

すべて、タクミには最初から見えてた。


たとえ、私とハルキがそういう関係になっても、私がそれで寂しくなければ、目をつむろうって思ってたんだって。

タクミという人は、私たちが考えている以上に上手だったの。