「ミクさんがそう言って下さるのはとてもありがたいですけど、ハルキの本心はハルキにしか知り得ないですもんね。ただ、」

「?」

「ハルキがミクさんの事を話すときの目は、ミクさんがハルキを見つめていた目ととても似ていました。」

「そう。」

私は静かに紅茶を口に含んだ。

「なんていうか、うちに秘めてるものがあふれ出してしまったっていうような。言葉にできない気持ちが思わずあふれてしまうほどって、すごいことだと私は思ってるんです。」

そんなミズキちゃんの言葉を、人ごとのように感心して聞いていた。

ミズキちゃんの表現。

相変わらず、とても美しくて、私の気持ちに染み渡っていった。

「お腹の赤ちゃん、生んだ後どうするの?女手一つで育ててくつもり?」

「あ、はい。とりあえずは、私の実家に身を寄せようと思っています。ハルキのご両親も援助して下さるって言ってるし。」

「そう。それなら安心だわね。」

「でも、いつまでも親の世話になってもいられないから、子どもがある程度大きくなったら、私もきちんと働こうと思っています。幸い、大学で教員免許をとっていたので、採用試験受けるつもりです。」

「そっか。それはいいわね。教員になったら、女性でもかなりの収入があるっていうし。」

「はい。今はお腹の子のことだけを考えて、目標を持って生きることが私の勤めだと思ってますから。きっと、ハルキもそう望んでると思います。」

「そうね。ハルキもきっとそう望んでるわ。」

本当にそう思った。