ミズキちゃんは、しばらく泣いた後、ハンカチで涙をきれいにぬぐった。

「ありがとうございます。ミクさん。私、ハルキについた嘘を悔やんでも悔やんでも悔やみきれなくて、おかしくなってしまいそうだったんです。だけど、ミクさんの言葉でとても救われました。」

私は少しだけ笑ってうなずいた。

私はあなたに感謝されるようなこと、一つもしてないんだよ。

だから、あなたが傷つかない言葉を選んで伝えただけ。

それは、私からあなたへのほんのささやかな償い。


「ミクさんも・・・ハルキのこと好きだったんじゃないですか?」

突然だった。

飲みかけていた紅茶を吹き出しそうになるのをようやく押さえる。

「え?な、何言ってるの。」

柄にもなく、動揺をかくせないでいた。

「私、ミクさんと初めてお会いしたときから、そんな風に思っていました。ハルキを見つめる目が、とても優しかったから。」

思わず顔が熱くなった。

「でも、私、ミクさんに対して何も思っていません。ハルキはミクさんみたいな素敵な人ですら、気持ちを寄せてしまうほどの魅力を持ってたんだって、改めて感じます。」

弁解の余地を与えないミズキちゃんの力強い言葉だった。

「きっと、ハルキも、ミクさんに惹かれていたんだと思います。」

「何度も言うけれど、ハルキが最終的に選んだのはミズキちゃん、あなたよ。」

弁解する気持ちはどこかにいってしまった。

もういい。

今はミズキちゃんと正面から向き合おう。