「私・・・誰に話していいかわからなくて、思わずミクさんにかけてしまいました。」

言葉が何も出てこない。

唇も震えている。

普通に話すらできない。

このまま、受話器を置いて倒れてしまいたい。


「ハルキにひどい嘘をついていたのに。ハルキはそれが嘘だって知らないまま逝ってしまったんです。」

ぼんやりとミズキちゃんの潤んだ声が聞こえる。

「私、お腹の子どもがハルキの子じゃないって、言ってたけど、本当はハルキの子なんです。私がハルキに嫉妬していたから、ひどい嘘をついてしまった。きちんとその話をしようと思ってたのに。なのに、ハルキは・・・・。」


ミズキちゃんのお腹の赤ちゃん。

ハルキの子だったんだ。

ねぇ。ハルキ、聞こえてる?

そうなんだって。

笑っちゃうよね。

あんなに真剣に悩んで、話し合おうって言ってたのに。

あはは。

ハルキ。

ねぇ。間違いなくあなたの子よ。

あなたが父親なのよ。


私の一寸先は、狂気だった。

気が変になる一歩手前の状態で、ミズキちゃんの言葉を何度も心の中で復唱した。

そして、そばにいるかのようにハルキに伝えていた。