「あー、なんだか俺惨めな気分になってきちゃった。そろそろ車出して帰るよ。」

傷つけた?

私を気遣って電話をしてきてくれたハルキを。

「うん。気をつけて帰って。眠気は覚めた?」

「スッキリだよ。夜はほとんど寝てないのにね。」

「そのハイテンションが、結構危なかったりするのよ。心配だわ。」

「はは。もし俺に何かあったときは、泣いてくれよ。いつも冷めたミクだけどさ。」

ハルキは少しかすれた声で言った。

「んじゃ。また連絡するよ。」

「うん。待ってる。」



待ってる。

思わず自然と言ってしまった。


ハルキはその私の言葉に気付いたのか気付かなかったのかはわからないけれど。

その言葉に何も言わず、「じゃ」と言って電話を切った。


待ってる。

待ってる。

ハルキからの電話を。

毎日。


本当は、随分前から、待っていた。

ハルキと会える時間を。

誰よりも。

タクミと会う時間以上に。