「私、こないだミズキちゃんを見た時、とても心配になったわ。きっとハルキもミズキちゃんもお互いに正直に語り合えてないのよ。今語り合わなかったら、きっともっと辛くなるだけ。」

「正直に話したら、別れようっていう話になるに決まってるじゃん。」

「お互いにそれがベストだったらそうすればいい。」

「人ごとだな、ミクは。」

ハルキは皮肉めいた口調で言った。

その言葉が刺のように鋭く私の胸を貫く。

「人ごとだわ。」

ハルキは寂しそうに笑うと私の体から静かに離れた。

「ミクは、全く俺と一緒になる気はないみたいだね。そんな口調だ。」

私は何も言わずに、少し笑った。

「俺って、全てが中途半端で嫌になる。誰からも本当に必要とされてないっていうか。俺の存在って一体何なんだ?」

ハルキの瞳の奧がダークに揺らめいた。

必要とされてないなんてことはない。

私は現にとてもハルキを必要としているんだもの。

その気持ちは、決して言わないし、見せないけれど。

ハルキと会う夜の時間が、どれほど私の気持ちと体を満たしてくれているか。

あなたとの時間がなくなったら、私はただの枯れた木。

女は、誰かにいつも愛され、抱かれていないと、朽ち果てていくものだと思う。

ハルキと出会って、自分の女の部分に初めて気付いたのよ。