「そんな決断を下した日に、よく私を抱けたのね。」

私は前髪をかき上げた。

「ミクのそばにいればいるほど、話をすればするほど、急激に惹かれていく自分がいた。なんだかブレーキのきかないレールに乗っかったみたいに。誰かにもう恋しちゃいけないっていう気持ちが、拍車をかけてたのかもしれない。」

「くだらない。私はそんなのの巻き添えになったわけ?信じられない。」

どんどん打ちのめされていく。

「でも、本気だったよ。それは今も変らない。」

ハルキはようやく私の方に顔を向けた。

そして、タバコを灰皿にもみ消して、私の隣に肌を寄せる。

「皮肉な話ね。」

私はハルキから顔をそむけて言った。

「そうかな。俺は運命ってこういうことかって、今実感してるんだけど。」

ハルキは、本当にくだらない。

くだらない。

くだらなさすぎる。

そう心の中でつぶやきながら、ハルキの唇を受け入れていた。

ばかじゃない。

私って、本当に。