ハルキは私の髪を優しく、ゆっくりとなで始めた。

上から下へ、そして、また上から下へ。

ただ、それだけなのに、切なくなるほどに胸の奥がキュンとする。

ワイングラスを放り投げて、このままハルキとベッドに倒れ込みたい衝動にかられる。

ハルキは・・・

タクミの弟。

それだけは、どうしても消せない事実だった。

例え、どんなことがあっても、ハルキと結ばれることはあり得ない。

それを選んだのも、二人。

だって、出会った時は二人とも未婚だったもの。

あ。

でも、ハルキには既に子どもができていたんだったっけ。


そんなことを考えていたら、ハルキが私のワイングラスをすっと取り上げた。

そして、残っていたワインを飲み干す。

ハルキはそのまま何も言わずに私にキスをしてきた。

とても熱く、強いキス。

私は、ほんのりとワインの香りが漂うキスをただ、夢中で受け入れた。

そして、長い、甘い、熱い夜が始まった。