あたしは声にならなかった
吉川の胸ぐらを離した。

「誰こいつ?」
吉川は自分の服を
直しながら言った。

「雪の彼氏。だから君別れてくれる?」

南くんが言った。

「はぁ?」

「別れないっつーんだったら、てめぇ表でろ」

とあの弱気な南くんからは
考えられない言葉だった。

「わかった。でも俺諦めねーから」

と吉川は言うと正門のほうに
消えて行った。