俺はビルの2階にある飲み屋に足を踏み入れた

自動ドアが開く

俺が店内に入るなり、すでに赤ら顔の男たちに大声で呼ばれた

「おっ、須山。こっちこっち!」

両手をあげて、左右に振っている友人を見て俺は思わずため息をこぼした

26にもなって、恥ずかしい行為をするな

俺は大股で、テーブルに近づくと、ナツの隣に座った

「仕事中に何度も電話してくんなよ」

ナツは座り直すと、少し奥に詰めてくれる

「えー、だって執事だろ? 仕事の時間なんて決まってねえだろ?」

酔った友人、葛城がジョッキのビールを口に含む

「時間は決まってねえけど、やらなくちゃいけない仕事ならある
それに今日は、午前中に休みを取っていた」

「えー? なんで?」

「区役所に母子手帳を取りに行った」

「はあ?」

テーブルにいる友人三人が、目を丸くして俺を見てきた

信じられない…といわんばかりの顔をしている

「母子手帳って聞こえたけど?」

ナツが、口を開いた