「母子手帳…失くすなよ」

「なくさない」

元がにやりと笑って、わたしから離れた

「俺は仕事に戻る
今夜は先に寝ててくれ
高校んときの奴らと飲みに行く約束が入ってるんだ」

元がジャケットを脱ぎながら、口を開いた

「飲み会?」

「ああ、昨日メールがきて、近くで飲むらしい
だから顔だけでも出しておこうと思って」

「そうか」

わたしはふうっと息を吐きながら、ソファに座った

「つわりが酷かったり、体調が優れなかったらすぐに連絡をくれよ
我慢はするな」

「わかってる」

「本当に?」

着替えの手を止めると、元がわたしの額に手を置いた

冷たい元の手が、私の火照っている身体を冷やしてくれる

「体温、高いな
無理するなよ」

「しない」

「もしかして拗ねてる?」

「す…拗ねてないっ」

元が口元をゆるめて笑うと、わたしの額にキスを落とした

「2、3時間で帰ってくるから」

「わかった」