「楊・・・・」
これは、美羽の声だ。
さっきから二人の声が
交互に聞こえる。
「楊・・・本当にごめん」
「本当にごめんなさい」
それでもあたしは
ベッドから出ない。
まだ、涙が溜まっている。
まだ怖い。
仲氏が・・・
男が・・・・怖い。
昨日、静かに閉まっていった
玄関のドアの向こうに
行ってしまったあの人に、
抱いてもらいたかった。
涙を拭いてほしかった。
「大丈夫だよ」
って、言ってほしかった。
「うっうぅぅ・・・・」
涙が・・・・止まらない。
恐怖と寂しさで・・・
消えてしまいそう・・・・