けれど、タケルとの別離は、ある日、突然やって来た。


タケルとの関係に、嫌気がさした母親が、自分の実家がある宮城県に、引っ越す事にしたのだ。

本当に突然で、なんで、そんな事になったのか、あたしには説明されないまま、あっという間に、小学校に転校届けが出され、仲の良かった友達とも、泣きながら別れた。


そして、タケルとの別れの日。


別れる直前まで、あたしはタケルの傍にいた。


だけど、母親が呼び、あたしは、訳の解らないまま、玄関に向かう。


その時、タケルが言った言葉。


「バイバイ……」


そう言って、手を振るタケルの表情は、寂しそうだった。


だから、あたしは確信した。


もう二度と、タケルとは会えないんだと。


そうだと解ったら、悲しくて、涙が出て来た。



この時、もしも、母親と一緒に行きたくないと言えば、その後の地獄の日々は、避けられたんだろうか。