誰が何と言おうとも、あたしの人生はあたしのものだ。
あたしの人生があたしのものである限り、そのヒロインはあたしに他ならない。
あたし以外は脇役であり、あたし以外が目立つことなど、何があろうとあってはならないのだ。
「どうしたらいいかしら」
あたしは今、考えていた。
親友の彼氏が、あたしのことを好きだと言う。
あたしも彼が好きだ。
くっついてしまうのは簡単だが、このままだと、あたしが悪役になってしまう。
悪役などありえない。
あたしはいつ如何なるときも、ヒロインでいなければならないのだから。
ヒロインは常に美しく、尚且つ、ときには悲劇的効果を醸し出しながら、周りを味方に付けねばならない。
そして、最終的には、しあわせを手に入れるのだ。
「魔法使いが必要ね」
そんな訳で、魔法使いを用意した。
あたしに心酔している都合のいい魔法使いは、金と体を提供することで、親友を上手く消した。
親友が実はとんでもない悪女だったという噂も、さり気なく流した。
「あの子がそんな子だったなんて、知らなかったよ」
「気付いてあげられなくてごめんね」
「いなくなったらしいけど、それも天罰じゃない?」
友人達は、皆が口々にそう言う。