目が覚めたら、見知らぬ男が隣で寝ていた。
驚いて飛び起きたわたしに反応して、眠気眼がぼんやりと呟く。
「洋子……まだ早いだろう」
洋子?
わたしは洋子ではない、一体どうしたことだ。
彼の言葉を一切無視して、急いでベッドから抜け出した。
どうなっているのか。
考えることは大切だが、考えても答えが出ないのなら、行動して確認することが先決だと判断した。
寝室らしき部屋を出て、家中を見て回る。
キッチン、ダイニング、ベランダ……全て記憶にない場所だった。
「どういうこと?」
トイレを確認してから、バスルームを開ける。
そうしてまた、同じ科白を呟いた。
「……どういうこと?」
鏡に映ったわたしは、見知らぬ女の姿をしていた。
「洋子、まだ早いって」
寝室からまた、見知らぬわたしの名前が呼ばれた。
24,洋子【エンド】