歳も、国籍も、ここにいる理由さえばらばらな僕達は、どうしたって上手くはまとまらない。
仕方ない。
誰だってそうならざるを得ない。
恐怖に勝てる者など、そうそういはしないのだ。
「取り敢えず、固まってた方がいいよ。僕は……何か食べ物を探してくる」
「……あたしも行くわ」
ドア付近で震えていた十代後半の少女が、自分を奮い立たせて僕を見てそう言った。
「……そう、ありがとう」
「あなたも一人じゃ危ないもの」
顔面蒼白で、それでも僕に無理矢理笑い掛けてくれた少女は、何と可哀相だろうかと思った。
こんな目に遭って、それでも誰かを気遣う彼女は、成長したなら、それはいい女になったことだろう。
部屋を後にしたなら、後ろからはまだ、バイカーと年増女の壮絶な罵り合いが聞こえていた。
「……早く止まないかしらね」
「そうだね……」
胸ポケットにしまったメモにそっと手を当ててから、この少女は本当に可哀相だと、もう一度、心の中で呟いた。
(全員を殺したなら、お前だけは助けてやろう)
恐怖に勝てる者など、そうそういはしないのだ。
6,モーテルにて