「これ、本当に武弘が作ったの?」



ドキッとした。



曲を聞き終えた雪音が一番初めに口にした言葉。



「あぁ。俺が作った。」



冷静を装って答える。
村上が何故隠したがっているかはわからないし、この曲を作ったのが誰であってもこいつらが気にすることもないと思うのだが。


ただ、雪音には嘘を付き通したいと思った。
村上のことを隠しておかなければならないと、直感的に感じた。

惚れた男の勘ってやつだ。



しばらく黙ったあと、雪音はMDを取り出した。




「ねぇ、この曲は私に書かせて。」




「へぇ、珍しいな。雪音が自分から書きたいなんてさ。」



敬太が意外そうに雪音を見る。



雪音は、今まで一度も、自分からは作詞をしなかった。
イヤな予感がよぎった気がしたが、



「あぁ。」



と答えるので精一杯だった。