クラス替えといっても、一学年あたり三クラスしか存在しないこの高校では、同じ学年のほとんどの生徒が顔見知りのようなものだった。
挨拶や自己紹介もそこそこに、僕はホームルームをさっさと終えた。
「日直は明日からつけるぞ」
ざわつき出した教室に向かい声を張り上げる。
「出席番号順な。明日は麻生と荒川」
前列右端に座っていた麻生は、弾かれたように顔を上げた。ぱつんと切り揃えられた前髪が揺れる。
「わかったなー。おい荒川、聞いてんのかお前」
既に帰り支度を済ませた荒川は、教室を出る直前でひらひらと僕に手を降った。