新学年が始まるということで、僕は新たに3年C組の担任と、生物部の顧問を任されることになった。
「芹澤先生、生物部って部員いましたっけ?」
隣に机をもつ前田先生が、僕の机に置かれたクラス名簿と生物部名簿を覗き込みながら言った。
「あぁ……一人、います」
きつめの香水の匂いに、僕は気付かれないようそっと体をのけ反らせた。母といい前田先生といい、女性はどうして香水をつけたがるのだろう。
「あ、この子ですね。麻生美紀」
前田先生の細長い指が、クラス名簿の一番上をトントンと叩いた。
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