テーブルにやってきたのは、母より一回りは歳をとっていると思われる紳士と、セーラー服を着た女の子だった。

「どうも、遅れまして」

灰色がかった髪の紳士、芹澤さんは、人の良い笑みを浮かべて僕たちにお辞儀をした。

「あ」

紳士に連れられた女の子を見て、僕は彼女が被服室で僕を救った子であることに気付いた。

髪を二つに結った彼女も僕に気付いたらしく、少し目を見開いたが、やんわりとした微笑みをたたえ、僕と母に丁寧に頭を下げた。

「はじめまして、芹澤由紀です」

母に頭を押さえ付けられ、僕も慌てて頭を下げた。

僕と由紀の公式な出会いは、こんなところだ。