「というわけで、生物部は予算も要りませんし、活動もほとんどありませんから」

麻生は模造紙をしまいながら、淡々とした口調で言った。

「あぁ、そう……」

僕は麻生のペースについていけず、思わず頭をかいた。
参ったな、これから一年間こいつと付き合うのか。そんなあるまじき思いが頭をよぎる。

何と言っても、麻生の無機質で可愛いげのない話し方はやたらと由紀に似ていて、非常にやりにくいのだ。


僕の顔をじとりと見上げていた麻生は、少し首を傾げた。

「終わりでいいですか、もう」

「え?」

「ミーティング」

「あぁ、うん。じゃ、先生が餌やりと戸締まりやるから今日は帰っていいよ」
僕がそう言うと、麻生はコクリと頷いた。

が、なかなか準備室から出ていこうとせずに、窓際に寄り掛かったまま僕から視線を離さない。