麻生は僕をじっと見たあと、ふぅとため息をついた。

「まぁ、うちの部の活動はそんなものなので」

「え、うそ。文化祭の展示、どうしてんの」

「毎年同じものを展示してます」

彼女は立ち上がって、隣の準備室に入っていった。
戸惑いながら付いていくと、麻生は準備室の棚の裏から大きな模造紙を引っ張り出した。

「これ、何年も前の先輩が作ったらしいんですよね」

「げ。本当に毎年同じの出してんのかよ」

模造紙は所々が黄ばんでいて、何年間も生徒が残してきた怠惰の印のように染みがあった。