「あ、麻生」

教卓の前を擦り抜けようとする麻生に声をかけると、くりくりした黒い瞳が僕を見上げた。

「先生、今年から生物部の顧問になったんだけど」

「……はぁ」

「今日は部活、やるのか?やるならミーティングも兼ねて、先生も一緒に」

僕の言葉に、麻生は怪訝な顔をして首を傾げた。

「ミーティング……って、何についてですか?」

「え?」

「……まぁいいや。活動は生物室なので」

そう言うと麻生はさっさと歩き始めた。
麻生のあまりの愛想のなさに呆気にとられながらも、僕は慌てて後を追った。