「や〜おちゃんっ!」
「うわっ! 藤堂さんっ?」
洗濯物を干している矢央に、ガバッと背後から抱きついた藤堂。
「うんうん。 やっぱり女の子はいいなぁ」
「はぁ? 何か親父くさいですよ」
むさ苦しい男所帯にただ一人の紅一点である矢央。
最近では平隊士までもが矢央にちょっかいをかけている姿も見受け、藤堂は何気に機会をくれた土方に感謝していた。
「それで、どうかしました?」
「うん。 あのさ、芹沢さんの墓参りに行こうよ」
「え……芹沢さんの」
バタンッと皺を伸ばした手を一旦止めた。
考えている素振りに、藤堂は横から覗き込む。
「きっと喜ぶよ」
不安気な視線を藤堂に向けた。
「……うん。 連れて行ってくれますか?」
「よし! じゃあ、さっさと干しちゃおう! 手伝うよ」
藤堂に干すのを手伝ってもらいながら、矢央は決心を固めていく。
けりを付けなきゃ前に進めないのだと。
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