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藤堂が墓の場所を教えてやってほしいと言われたのは翌日の事だ。
暫く浅い眠りばかり続けていた矢央だったが、土方のおかげでぐっすり眠りにつくことができた。
夕餉を食べるのも忘れてだったので、朝餉は男並みに食べる矢央を見て数人の助勤達は安藤したとか。
朝餉の後、本日の隊務発表があり午前見廻りに当たる沖田、永倉、井上の隊は早々と出掛けて行った。
そして矢央は一応観察方の山崎が率いる救護隊に属していたため集まりには参加するようになったが、救護隊というのは戦場に出向く以外は、怪我人が出ても屯所に運ばれて来なければ仕事にはならず、
なのでほぼ女中のような役割を普段は果たしていた。
解散した後、矢央は洗濯をしようと庭に向かった。
「藤堂」
矢央が見えなくなって、土方は藤堂を呼び止めた。
「悪ぃが、矢央を芹沢ンとこに連れて行ってやってくれ」
「芹沢さんのとこ……。 大丈夫なの?」
藤堂は非番なため、土方は心を許しているだろうと察して頼んでいた。
だが藤堂は、まだ早いのでは(?)と土方に尋ねた。
「大丈夫だ。 逆に早くけりをつけさせてやりてぇ」
「そっ。 分かったよ。 ついでに僕も墓参りしてくるかなぁ」
「すまねぇが、頼んだぜ」
芹沢の墓参り。
吹っ切れたにしろ、矢央はまだ墓参りを済ませていない。
行きたい気持ちはあるが、何かがくすぶり一歩が出ないでいた。
それを見抜いていた土方は、矢央の背中を押すために藤堂に頼んだのだ。
「素直じゃないよねぇ」
自分で連れて行ってあげればいいのに、と藤堂は微笑した。
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