新見の遺体は壬生寺に埋葬された。
やはり矢央は新見を見送ることはしなかった。
芹沢の寂しげな姿を見たくはなかった。
そんな矢央は道場で一人汗を流していた。
考え事が纏まらない時は、体を動かしている方が頭が冴える。
「……あ―――――っ」
九月になっても、まだ暑い。
わざと道場を閉めきっているせいで、矢央の胴着は汗に濡れている。
「スッキリしたけど……何も考えつかないや」
これからどうなっていくのか。
あの日以来、お華は姿を見せてはいないが、あれだけ執着心露わにしていたお華だ、そろそろ何か仕掛けてくるかもしれない。
少なくとも、お華が邪魔者だと思っているであろう人物と土方が邪魔者だと言った人物は同一人物だった。
その人物は、壬生浪士組筆頭局長芹沢鴨だ。
今の芹沢は、矢央から見ても隙だらけで狙うなら今ではないか。
それを芹沢自身、薄々気づいているからこそ矢央にあんな言葉を残したのか。
「……本当に死んじゃうの……」
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