"邪魔者はいらない"


瞬時に浮かんだセリフ。


このセリフを口にした人物は二人、お華と土方だ。


もし新見の死が誰かに追い込まれたものだとしたら、確実にこの二人は関わっている。



グッと胸の奥が締め付けられた。



「……新見の最期を見送りたくはないか?」


葬儀が行われている部屋を離れた場所から見ていた矢央の背後に人が立った。


「芹沢さん……」


疲れているのだろうか、目の下にくまができている。

少し顔色も悪いような気までしてくる。


「ふっ…そうだったな。 お前と新見の仲はよくなかったか」

「そういうわけじゃ……」


仲がよくないから葬儀に参加しないわけではない。

あの場所に、関わりのない自分がいてもいいかわからないだけだ。


「芹沢さ――」

「俺の葬儀には顔を見せろよ。 局長命令だ」

「なっ――…ちょっと、芹沢さんっ!?」


(なによ、その言い方? まるで…まるで芹沢さんまで死ぬみたいじゃんか)


妙に真面目な表情だった芹沢。

新見の葬儀が行われている部屋に入って行った芹沢の大きな背中を見ながら、矢央は言い知れぬ不安を感じた。


新見の次は――――……



「まさか……だよね…」


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