翌日、新見の葬儀が行われた。


矢央の姿はない。

新見の死を知らされた矢央は、複雑な気持ちの中をさ迷っているかのようだった。


新見と出会って、お互いの印象は良くないもの。

その仲裁に入っていた芹沢がいたおかげで、言い争いなく過ごせてきた。


はっきり言って、新見のことは好きにはなれない。


だがやはり人が死ぬというのは、あまりにも別次元のことのように思えた。

それは、理由が理由だからか。


「切腹なんて…どうして…」



矢央にはどうしても、新見が切腹したとは思えないのだ。


芹沢同様に悪行を働き、その上ずる賢く勘のいい男が、自ら悪行の数々で詰め寄られたくらいで死を選ぶのか。

否、なら初めからしなければ良かっただろう。

しかし、新見の死が切腹でないとしたら、誰かが新見を死に追いやったということになる。


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