あ…この人はあたしがぶつかって転んだ時、あまりにも痛くて泣いたんだと思ってるんだ。
彼は、あたしの手を取って立ち上がらせてくれた。
「あ、あたしそんな柔じゃないんで!」
「ふっ…そか。でもゴメンね?」
え…この人今少し笑ったよね…?
何故だ!?
「いえ…あたしこそすいませんでした…」
「うん。じゃあ、俺急いでるから行くね」
「あ、はい」
そう言うと、彼はあたしに微笑んで、すぐに行ってしまった。
それからボケーッとしながら家に帰って、ベッドでゴロゴロしていた。
「かっこよかったなぁー…」
あの笑顔、あたし好きかも…。
「違うよ!?あの人が好きなんじゃなくて、あの笑顔が好きなの!」
って…あたし誰に言い訳してんだよ。
あたし重傷だな。
重傷なあたし、中川 海(ナカガワ ウミ)。
三週間後、高校生になる、15歳。
明日からは春休みだ。
春休みは親友とたくさん遊んで気分晴らししなきゃね。
あ、そうそう。
あたしの親友を紹介してなかったね。
北原 優衣(キタハラ ユイ)。
あたしの親友で、あたしと同じ高校に受かった。
優衣は今、彼氏ができたからと浮かれている。
ちなみに、その彼氏もあたしたちと同じ高校に受かった。
はぁ…彼氏ねぇ…。
初彼に浮気されたって…最悪だよね。
まぁ、年上だったし、あたしみたいなお子ちゃまじゃ物足りないよね。
はぁ……
もう今日はご飯いらない。
そして、あたしはボケーッとしている間に眠りについてしまった。