麗は、うつむいてしまった。

嫌われてるわけでは、ないことは嬉しい。

でも、きっちり拒否されてるのが事実で、これって、なかなか複雑な心境だ。

扉が開く。

兵庫は一足先に出て、部屋の鍵を開ける。

麗はドキドキしてきた。

「何で、おぼっちゃんだってこと隠してるの?」

兵庫が振り返る。

「コレに、寄ってこられると嫌だから」

「お金持ちだってバレて、それ目当ての女の子にモテちゃうのが嫌だってこと?」

「そう。さ、どうぞ」

ドアを背中で抑えている、兵庫の傍を通らないと、中に入れない。

麗は途中で、兵庫を見た。

目がしっかり合ったのに、無言でそらされる。

「オレ的にはそれも楽しいんだけど、彼女が嫌がったから、隠すことにした。

遊びに来た瞬にはバレたけど」

「ふうん。じゃ、お邪魔します」