「忘れ物?気付かなかったけど」

「気付かないようなものだもの」

「・・・大事なもの、だよね?」

「うん。すごく」

「じゃ、誰かと一緒に・・・」

「そうだよね。じゃ・・・いい。あきらめる」

麗は兵庫の目を覗き込んだ。

ダメ、か。

ショックな表情を、したのだろう兵庫の目が曇る。

「わかった。じゃ、今日でもいいなら、帰りに寄って?それくらいならいいじゃん?」

麗は嬉しさのあまり、満開で笑った。

「うん。いい。いい」