麗は、自分の心臓を、痛くないように、なだめた。

「オレ実は昨日、彼女と会った。

別れるのも時間の問題って感じだったんだけど、ちゃんと話し合って、もっと頻繁に会うことにしたんだ」

「そう、なんだ」

「うん」

何で、そんなことわざわざあたしに報告するんだ。

何も、邪魔なんか、するつもりはないのに。

ちょっと頭にきて、ちょっと意地悪な気持ちになった。

「それじゃ、やっぱり迷惑か。

困ったな」

「え?」

「あたし、実はタカちゃんのうちに忘れ物して、説明しても分からないようなものだから、取りに行きたかったんだ。

けど、彼女と仲直りしたんなら、勝手に部屋に入ったりしたら、駄目だよね」

兵庫は、黙った。