「な、なにすんの!?」
あたしは、唇に手を当てる。
すると、萩浦君は急に悪魔のような笑顔になった。
『なにすんの…って。
キスだけど?』
さっきと全く違った顔で微笑む萩浦君。
…………はぁ!?
というか、さっきの萩浦君と全然違うんですけど!
「意味わかんない!」
…萩浦君がこんなやつだと全然知らなかった!
素はよくても中身がよくないといけないって。
あたしははじめてそう気づかされた。
『なぁ…』
「な、なによ!」
『お前、彼氏いんの?』
「あんたに関係ないじゃん!」
なんでそんなこと聞くわけ?
『いいから、教えないとまたキスするぞ?』
そう言って、怪しげな微笑を浮かべて近づいてくる。
『ほら、教えろ。
キスしてもいいのか?』
ど、ど、どうしよ。
今萩浦君の唇が当たりそうなくらい間近にある。
えーいっ!
「い、いるわよっ!」
そう言った途端、萩浦君はピタッと止まった。
『ふーん。いるんだ。
…それならさ
……彼氏から奪ってやるよ』
……………。
はあぁぁぁ!?
あたしを奪う!?!?
なーに言っちゃってのコイツは!
あたしは心なしか、笑ってしまった。