「そうさ。薬が効かないくらいずば抜けて強かったんだろう?すごいじゃないか」
「え?そ、そうかな…」

「さすが、我が主だ」


力強く、嬉しげな声に包まれる。
人々が嫌ったこの力が、ここでは受け入れられる。

仲間とは、こういうものか…

あの少女に拾われた雨の日に渡されたスープのように、身体の芯が暖かくなる。


「リンの顔が真っ赤だ!!」
「「真っ赤だ!!」」
「どうしたんだい?」
「いかがなされた?」



「………嬉しいんだ。褒めて貰った事なんて…全然なかったから…」


時間は、やけに優しく過ぎる。
その声を、王グラジオラスが無表情に聞いていた。

横合いから老人の声が放られる。

「あと2日ですな」

その声に、グラジオラスは静かに目を閉じる。

自分の内面と話し合うかのように。