目的地に着き、僕を下ろすとすぐにメイスフォールは飛び去って行った。



見渡すと、ライアの住んでいるあたりとは全く違う風景が広がっていた。

草木が所狭しと生い茂り、踏み分けて作られた道はまさに獣道と呼ぶに相応しいように思える。








「餌になりに来たのかい?坊ちゃん」

「!!」



不意に横合いから気配がして即座にしゃがみ込んだ。

見ると一瞬前に頭があった場所を黒い影が複数横切る。





ザザザザザザッ

「!」




直ぐに足元に迫り来るまたしても複数の気配を感じ即座に身を起こし鋭く後方に飛びすさる。


その姿を僕が確認するよりも速く茂みに身を隠す。



連携のとれた攻撃の仕方をその身に染み込ませたような動きだった。

ケタケタと甲高い笑い声に混じって四方八方から耳障りな声が響き渡る。






「餌じゃなきゃ何しに来た!」
「「何しに来たーっ!」」

「坊ちゃんみたいな可愛い子がわざわざねぇ」

「「坊ちゃん坊ちゃん!」」





やや頭が痛くなる声だ…

とりあえず話しかけてるのだからちゃんと返さなくては。
やや声を張り上げて返す。



「僕はリン・リカルド。
この森に住み着く許可を貰う為にここで生き延びてみろと王に言われた」