かつての名を捨て『王』という呼び名しか持たないことに疑問の念すら起こらなかった事を考えると今の自らの内面変化にも気付く。










いつからだ?

人の子であるライアを拾おうと思ったのは。


いつからだ?

あの娘を護ってやらねばと思うようになったのは。




いつからだ?

あんなに小さな存在が自分の中で大きくなったのは。








未だ答えは出ず、王はただ心中で一人ごちるのだった。



愛し方を忘れた不器用な王は、"短かった幸せのようなもの"の終わりを感じていた。





















雲がやんわりと月を覆った。