たとえまた"私"をなくすことになっても、この想いだけは…












「お願い……」








その悲痛な想いに、触手の動きがほんの僅か鈍った気がした。
視界が陰る。




ガアァァァァァァァァァァァァッッ!!!!


「クロ!!?」

グイッ!

「あんたはこっちだよ!」

「アキ!ナキ達も…」



どうして…と言おうとしたリンの言葉をアキの「水くさいねぇ」が遮る。




「さっさと先に行っちまいやがって。あたしら仲間じゃないのさ」


そうだそうだとナキ達も喚く。


「あたしらが道を作るよ。お姫さん助けてやんな」

「アキ達はっ!?」


あまっちょろい奴だねぇ!といらだたしくアキが叱責する。
しかしすぐに笑う。



「あたしらも、自分達だけの為じゃない生き方なんてのをしたくなったってだけさ」

「石帝も同じだ!」

「「リンに救われた!」」

「「リンが教えてくれた!」」


「そんな…」



皆、いつも通りに笑い、送り出そうとする。


「酷な事だって事くらい、充分わかってるさ」



でもね、と続ける。



「"絆"だとか、"愛"だとかさ、そんなもんを護るのにゃあ、ただ生きるよりも大変なんだ」