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リンが王聖地に着いた時には、また新しい死体が喰われたあとだった。

血に沈んでいる見覚えのある黒衣に愕然とする。

ついさっき洞窟に来た彼の声が蘇る。



『覚悟を決めろ』









覚悟ってなんだ?

なんの為に?

 何故?

    どうして?

……




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ライアはぺったりと座り込み歌っていた。



よく聴いてみると、そこに明確な歌詞はなく、メロディだけを口ずさんでいる。

相変わらず無表情で、焦点の定まっていない目だが、リンにはひどく懐かしいメロディだった。



「リン…」



リアンと呼ぶべきなのだろうか?


僕らは出会わなければよかったんだろうか?
生まれなければよかったんだろうか…








唄に呼応するように、紅い翼がさらに肥大していく。